西上州(群馬) しれいた山(790m) 2020年12月19日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 13:13 廃林道入口−−13:19 廃林道分岐を右へ−−13:23 廃林道終点−−13:56 尾根に乗る(標高570m)−−14:06 超急斜面で撤退−−14:15 西隣の尾根に乗る−−14:27 730m鞍部−−14:32 岩峰−−14:36 しれいた山−−14:40 岩峰−−14:44 730m鞍部−−14:51 廃林道−−14:59 530m鞍部−−15:08 廃林道−−15:14 廃林道入口

場所群馬県甘楽郡下仁田町
年月日2020年12月19日 日帰り
天候
山行種類藪山
交通手段マイカー
駐車場廃林道入口に駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無ほぼ無し
危険個所の有無東西に延びる主稜線に乗ってから山頂までの間に岩峰あり。正面突破は垂直に近い壁だが南を迂回可能。主稜線は痩せ尾根で転落注意
山頂の展望西側の展望が良好。山頂東直下からは東の展望あり
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コメント日本山名事典記載の山。現地の山頂標識は「落沢岳」となっている。大北野集落下の廃林道から往復。地形図を見て主稜線直下はどこも急で岩を避けて安全に登れるルートがあるのか心配だったが、予想通りどこも超急斜面でリスクが高く、おそらく今回使ったルートが最も安全なルートと思われる。主稜線まで植林が達した唯一の場所。山頂までの間に1か所岩峰があり、往路では赤ペイントに惑わされてほぼ垂直の岩場を灌木を手掛かりに登ってしまったがロープ無しで下れるルートではなく、帰りは南を巻いたら簡単に下れた。車でどこまで入れるかにもよるが、大北野集落からではなく北側の林道からアプローチした方がいいように思う。私が出会った廃林道におそらくつながっていると思う




廃林道入口 廃林道入口反対側の駐車余地
林道の崩壊箇所。歩ける迂回路あり 谷の分岐で林道が分岐。右へ
大北野集落から墓地へ下ってくる道 林道分岐の墓地
ここでも林道が崩壊。下りはここへ降りてきた 大規模な林道崩壊地点
沢の中はおびただしい倒木で歩きにくいことこの上ない 左岸側の植林帯を高巻き
たま〜に目印が登場 標高470m付近。ここから小尾根を登る
取付いた小尾根 標高550m付近
標高570m付近で尾根に乗る。北側直下に廃林道登場 尾根を登る。まだ安全圏内
標高630m付近。傾斜がきつくなってくる 標高640m付近で植林を抜ける。かなりの傾斜
標高650m付近。写真では伝わらないが超急傾斜。危険を感じ撤退 西側のガレた沢。この向こうの尾根に乗り移ることに
標高600m付近で谷を横断 谷の左岸は堆積した落石で非常に歩きにくい
尾根に乗る。ここを上がれば稜線まで植林 傾斜はきついがさっきの尾根より緩い
主稜線の鞍部が見えてきた 730m鞍部。このルートは正解だった
西側は岩峰。目印を信じて正面突破したが南から迂回が正解 岩峰から見た「しれいた山」山頂
しれいた山山頂(790m峰)。西から東を見ている しれいた山山頂。東から西を見ている
しれいた山から見た西側の展望(クリックで拡大)
しれいた山の山頂標識。色が落ちているがたぶん「すかいさん」の標識 しれいた山から見た641m峰
しれいた山東直下から見た東側の展望(クリックで拡大)
山頂東の岩峰。西側からだと危険個所は無い 岩峰てっぺんから南へ下る踏跡へ
山頂東直下を南から巻いて下った。往路より格段に安全 730m鞍部から復路のルートを振り返る
730m鞍部へ下る。北斜面は植林 730m鞍部から北の谷へ下る
尾根を巻くように廃林道が延びている 法面を強引に下って廃林道へ
谷からなら簡単に廃林道に下れた トラバースしたガレた谷と廃林道の交差点。危険はない
帰りは573m峰に続く尾根を歩くことに。北側直下に廃林道 尾根上。何となく道があるような無いような
標高550m小ピーク 次のピークで右の尾根へ入った
標高510m付近 標高480m付近で廃道登場
尾根末端は廃林道崩落個所 廃道終点は廃林道崩落個所から約50m下流の橋
廃林道入口到着 本日から投入のウェストポーチ。5年で3回目の更新


・地形図記載ではなく日本山名事典記載の山。場所は下仁田市街地に比較的近い西側である。地形図を見ると主稜線は東西方向でその東端は急傾斜で落ち込んでいる。主稜線の南北側も相当の傾斜で、おそらくは崖だろう。なだらかな主稜線西側はいくつかピークが描かれているが、西上州なので岩峰の可能性も。主稜線の幅は狭く痩せた岩稜と思われた。以上のように各方向から主稜線や山頂に達するまでに危険個所が予想され、一筋縄ではいきそうにない山だった。

・さすがに今回はネットで下調べを実施。一般的には山名事典の「しれいた山」(790m峰)は「落沢岳」と呼ばれ、その南東側の641m峰が「しれいた山」となっているようだ。しかもこれらを登るには岩装備が必要とのこと。特に790m峰から641m峰間は懸垂下降が必要な岩場があるとのこと。よって一般的には790m峰に登って641峰に下る順番となっている。しかし790m峰に登るにも岩場ではないがザイルで確保が必要な危険地帯があるとのことで、私の技量で登れるのか自信が無い。少ししか検索していないが東尾根を登るものしか見当たらなかった。

・山頂の南東側に大北野集落があり車道が通じているので、ここから谷を詰めて東尾根を目指すことにした。急坂を上り切ると車道終点となったが、そこは集落で唯一の駐車場らしく部外者が止めていいものか悩む。少なくともUターンできるスペースを残しておくことが必要で、まだ上がってくる住人の車があるかもしれないのでここは利用せず別の場所を探す。

・どうせ谷を詰めるのだから谷と車道の接点まで下ると谷沿いに廃林道を発見。廃林道入口の反対側には駐車余地もあり丁度いいので、ここから歩くことに。危険なコースなので念のために20mのロープを持つが、これの登場機会が無いことを祈ろう。

・廃林道は最初だけまともだが、集落直下で崩落があり車両は通行不能。これも近年の大雨で沢が増水した結果だろう。路面の下が掘れて道路が無くなっているだけでなく、上から土砂が押し寄せた箇所も。

・沢が左右に分かれる箇所で林道も左右に分かれている。中央の小尾根には墓地があり、集落から明瞭な歩道が降りていた。車道が崩落した今はこの歩道でしか墓参りはできない。

・大北野集落から山頂を見上げたところ、北東から主稜線に突き上げる尾根は主稜線直下まで植林帯が延びているのが見えたので、そこを攻めることにして右の廃林道へ。ここでも崩落があるが歩く分には支障はない。大きな崩落の直後が廃林道の終点。

・地形図を見る限りは谷はそこそこ広いかと思いきや、狭くてしかも大量の流木が積み重なってとても谷の中は登れそうにない。水量は少ないのだが。右岸側は急傾斜で崩れた箇所もあるので、ずっと植林が続く左岸側を巻きながら谷沿いを上がっていく。時々沢沿いに目印が現れるが道は無い。ただし植林で藪もほとんど無く、植林斜面には獣道もあってトラバースなのに比較的歩きやすい。

・そんな谷筋もやがて急な登りに変わり、左岸側の傾斜も増してトラバースしながら谷沿いを登るのが難しくなった。それにこのまま登ってもおそらく危険な超急斜面に突入してしまうだろう。標高470m付近から小尾根に取り付いて大北野集落北側を東西に走る尾根に乗ることにする。

・植林はずっと続いて藪も無く歩きやすい。傾斜が緩むと想定通りに標高570m付近で尾根に乗り上げる。意外にも尾根の北側直下には林道が通っていて、おそらく地形図でこの尾根の北側の沢沿いに描かれている林道につながっているのだろう。この林道がどこまでマイカーで入れるかにもよるが、こちらからアプローチした方が楽だったかもしれない。

・ここからが本番。尾根はまだ傾斜が緩いが南を見上げると上部は相当な傾斜で、特に植林帯が終わって自然林に変わってからが勝負となりそうだ。

・植林帯は地面がそこそこ柔らかく長靴でもエッジが効くので急斜面でも滑落の心配はないが、植林を抜けて落葉樹の自然林に変わると落ち葉で滑りやすいうえに地面が固くエッジが効きにくい。それに植林と比較して木の間隔が広く手がかりが無い距離が長い。自然林に入ってから10m程度は登ったが、それ以上は岩や雪が無いのに足を滑らせたら止まりそうにない超急斜面の連続で、その上部には岩峰が待ち構えている気配が。おそらくこのまま登っても行き詰るだろう。

・突破できそうな地形が無いが周囲を見渡したところ、東側はさらに危険地帯で通過は不可能だが、西側は浅い谷を一本隔てた尾根は主稜線まで植林が達しているように見え、そこまでは安全に登れそうだ。あちらの尾根ならこの尾根のてっぺんにある岩峰は登る必要はないので、さらに安全度が上がる。尾根を乗り換えよう。

・ここから西へトラバースできれば効率的なのだが、両者を隔てる谷は大きく崩れて地面が露出、崖状なので通過は不可能で、横断できる程度の安定した地形まで高度を下げる必要がある。林道が眼下に見えるような標高600m付近まで高度を下げた場所で、どうにかガレを横断できそうな場所を発見。倒木に掴まりながらどうにかクリアして目的の尾根に乗る手前に、ガレてはいないが落石が積み重なったような石がゴロゴロして足元が不安定な斜面が登場。ここは植林ではなく自然林で距離は20m程だがとにかく歩きにくかった。落ち葉で石と石の隙間が隠れて見えないのが一番厄介だった。

・やっと安定した地面の植林帯に突入。主稜線まではこのまま登ればいい。上を見上げると先ほどの尾根よりは確実に斜度が緩く、これなら安心して登れそうでほっとした。

・傾斜がマシとは言っても絶対的には斜度は相当なもので、獣道らしい筋に乗ってジグザグを切って高度を上げる。植林帯は主稜線が近付くと尾根筋ではなくさらに西側の浅い谷筋に移り、登りきると地形図に表現されない標高730m小鞍部だった。東側は明らかに岩峰で、最初の尾根を登ってきたらこいつを越えなければならなかったのがパスすることができた。もしかしたらこの岩峰の裏側にもさらに岩峰があるかもしれない。

・小鞍部の西側、つまり山頂がある方向にも残念ながら岩峰が立ちはだかるが、これを越えないと「しれいた山」山頂に立てないのでどうにかして通過する必要がある。ぱっと見た目では北側の迂回は不可能で、南側も尾根を直進するのと同程度の岩と傾斜がありそうで、まっすぐ登ることにした。立木や岩には直進すうように薄い赤ペイントが残されていた。

・見上げる傾斜は凄かったが実際に登ってもこれはもうクライミングの範疇だ。岩や灌木があるので手がかり、足がかりはそれほど困らないが、ほぼ垂直な壁で落ちれば軽傷では済まないだろう。生えている灌木は高密度ではないし細いので、落ちても受け止めてくれないだろう。上からフィックスロープが垂れていればまだ登りやすいのだが、何もないのでフリーで登るしかない。慎重に登ってどうにか突破したが、ロープを持ってきたとは言ってもこれを下るのは気が進まない。他にルートが無くどうしてもとなればここを下るが、どこか迂回ルートが無いか帰りに探ることにした。

・危険地帯をクリアした岩峰が山頂なら良かったのだが、残念ながらさらに西側にもっと高いピークが見えた。あそこまで危険個所がありませんように。

・岩峰の西側は危険個所は無く小鞍部へ簡単に下りられた。その先は岩っぽい痩せ尾根だが先ほどのようによじ登る岩はなく、普通に歩ける地形だった。それに灌木の中に踏跡が見られた。

・緩やかに岩尾根を登り切った場所が待望の「しれいた山」山頂だった。撤退寸前までいったがどうにか登頂成功。色が落ちてしまっているがフォントから「すかいさん」の山頂標識と思われるものあり。彫られた山名は「落沢岳」で、やはり地元ではこの名称が一般的らしい。

・山頂からは西側の展望が大きく開ける。やや緩んだとはいえ冬型の気圧配置で長野県側は雪雲に覆われていた。山頂の東直下に移ると東の展望が開ける。眼下には下仁田市街地、その向こうは富岡、藤岡から関東平野へと続く。遠くに筑波山も見えた。

・さて帰りも岩峰が問題。左右どちらからか巻けないか鞍部から見ると、どちらからも巻けそうに見える。しかし少なくとも北側斜面は尾根を越えた東側はトラバース不可能な斜度のはずであり、南側を巻いてみることに。

・僅かに踏跡らしき筋があったので入ってみるが岩峰のてっぺんへ導かれてしまった。しかし、ここで周囲を良く見ると南の微小尾根に踏跡が続いているように見えた。もしかしたら南から巻けるか?と進んでみると、踏跡は微小尾根から左へ離れて山頂の岩場直下を斜めに下っていた。往路から見ると登れそうにないように見えたのだが、現場から見下ろすと往路のように岩の正面突破よりずっと斜度が緩く、適度に岩の凸凹があってロープを出す必要はなく安全に通過できた。よって、730m鞍部からの登りでは岩峰の南を斜めに巻きながら登るのが正解だ。

・主稜線に復帰して730m鞍部から植林の北斜面を下る。往路でルートの様子は分かっており危険地帯はもう無いので気楽に尾根を下っていく。最後は林道に下るのだが法面になっているので獣道で強引に下ったが、谷地形の場所なら斜面がつながっていて楽に下れたのであった。

・往路でトラバースしたガレた谷で林道は寸断されていたが歩く分には問題なし。

・往路でこの尾根に出た標高570m地点で下りのルートを考えた。往路と同じく谷のそばをトラバースするのは歩きにくいので、この尾根を東に進んで適当なところで枝尾根を使って廃林道に下るのがベストだろう。尾根から離れる場所は530m鞍部を通過して540m肩にかかった直後から南東に延びる尾根。この尾根は地形が緩やかで鞍部やピークが分かるか心配であるが、外しても南に下れば廃林道に出るので細かいことは気にせずいいだろう。

・尾根は植林が続き、道は無いが藪も無いので快適に歩ける。林道は尾根の北側に沿って緩やかに下っていくので、北側の谷沿いの林道に続いていると思われる。途中で明らかに道幅が細くなった場所があり、車両通行不能で廃林道化しているようだった。

・危惧したようにこの尾根は顕著なピークや鞍部が無く読図が難しい。小ピークを越えた次のピークは右手の獣道で巻いて小鞍部に至り、次のピーク直下から右手に延びる尾根に乗り換えることにした。これが正しい尾根か自信はないが、南東に下るので廃林道に出られることだけは間違いない。

・この尾根もすっと植林が続くが場所によっては低い常緑樹が多少邪魔している。大きな障害ではないので文句を言うほどではない。尾根は明瞭でひたすら直進すればOK。標高480m付近から植林の作業道と思われる廃道が合流。ほぼ尾根上を下っていき、最後は廃林道の路面が部分的に崩落した箇所で尾根が終了していた。廃道化した作業道はそのまま左岸を下流側に続いて、崩落個所から50m程度下流で苔生した橋で廃林道へ合流していたが、沢の水量は少ないし崩落で廃林道に簡単に上がれるので、尾根終点で廃林道に乗り移った方が歩きやすいだろう。

・以後は廃林道を歩いて駐車箇所へ。


・無事に登れるか自信が無かった「しれいた山」であるが、岩登りせずに登れるルートを発見できて良かった。西上州は小さな山でも危険地帯がありがちで、岩登りの技術と装備を持った人ならまだしも、私の力量では事前調査無しでは登れなかった可能性が非常に高い。先人の情報に感謝。

 

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